それぞれの新年度(長文注意)

 

ここ一ヶ月、私の中でキリキリと胃の痛む課題がありました。
もちろん、他でもなく義父のことです。

今年の冬、義父は期間限定で「介護老人保健施設(通称:老健)」に入所しておりました。
3ヶ月間の入所。
理由は先日のブログでも書きましたが、義父が家を出て、そのまま帰ってこない危険性があること。
雪の中の作業により、危険度がUPすることです。
春になれば春になったで・・・それはそれは大変。

田んぼせんなん!畑せんなん!

私もそうですが、主人もたまの休みに義父の監視はさすがに辛い。
結局、施設(老健)のお世話になるほかありません。

義父は現在「アリセプト」というお薬を頂いております。
大学病院で処方してもらっています。

この度の入所の為に、医師に限界ギリギリの三か月分を処方してもらい、なんとか退所まですごすことが出来ました。
老健では処方できないこちらのお薬・・・色々事情があるのですが、
このお薬は老健にとって、とても高価なので普通処方しません。

老健入所の流れは下記のとおりです。

お薬の処方(病院での診察)

カンファレンス(施設によってはありません)

老健入所

老健退所

お薬の処方(病院での診察)

一ヶ月(もしくはそれ以上)の老健待ち
この期間、介護保険適用内でのショートステイ、デイサービスの利用

カンファレンス

老健入所(運がよければの話)

こう書くとシンプルな感じもしますね・・・(笑)。

でも実情は大変×10。

うちのケアマネージャーさんはとても優秀なので、
老健に入るまでの一ヶ月間をショートステイやデイでほぼ確実に埋めてくださいます。
しかし、私達の義父よりも必要としている方は大勢居ます。
そういう方たちとの兼ね合いもあり、ショートステイが取れない日もあるのです。
そうなると、やはり在宅介護は必至。

老健さんからのお声がけ(入所できますよ!)を心待ちにしながら、
ショートステイとデイサービスを続けることはなかなか想像以上に大変です。

人間、一度 楽なほうに流れると・・・なかなかそこから抜け出せません。

認知症患者の介護というものは、自分の時間や精神を削っていかなくてはなりませんし
主人の方針である「出来るだけ楽な介護を」という実現がここにきて難しくなってきました。

もう一つの理由に・・・「私の仕事」があります。

私は4月から、結構お堅い(私には不向きな)事務所で働くことになりました。
残業などはほとんどないのですが、朝が早く・・・義父をデイサービスに見送ることが不可能です。

となると、私の高齢の父に頼らざるを得ません。
なにか不手際があると大変ですし、義父がおとなしく見送られてくれるか・・それすら分かりません。

もう一つは 万が一 老健に入所できるとしても、今のお薬を続ける限り 入所期間は決まっています。
最長、三ヶ月ということ。

そのたびに、平日の昼間、仕事をお互いのどちらかが休み、カンファレンス(会議)に出て、入所手続きを行う。
退所時にもカンファレンスはありましたが、そこは免除してもらいました。

私は「薬(アリセプト)を諦めるか」と主人に問いましたが、主人は「まだ諦めたくない」と答えました。

薬さえなければ、老健で三ヶ月以上入所することができるからです。

しかし、薬を飲まなくなった義父の今後に不安はあります。
せっかく緩やかに進行している病が・・もしかしたら急激に悪化するのかもしれないという恐れ。

私は主人の意見をグッと飲み込みました。

そんな時、ケアマネージャーさんから「グループホーム(認知症高齢者対象)」の話を伺いました。

いえ、正確には数ヶ月前に既にお話をいただいていたのですが、
その時はまだ時期尚早だろうとタカをくくっていたのです。

何度もいいますが うちのケアマネさんは超優秀です。
頭の回転が速く、事情を飲み込むことにかけては超一流です。太鼓判押せます!

そして将来を見越す能力にも長けておりました。

私自身、あまり先のことを考えない人間ですし、主人は仕事で忙しかったのであまり頓着しませんでしたが、
今、そのグループホームの話が頭に響きました。

私の泣き言に対して「だからあのとき、見学しとけといっただろう!」とケアマネさんは決して口にしませんでした。

サクサクとグループホームさんの資料をファックスで送ってくださり、
義父と我が家の状況説明をした上で見学予約の手配までしてくださいました。

ケアマネさんが居なかったら・・・私はポカーんと途方にくれていたんだろうなと思います。

私は主人とグループホームの見学廻りを行いました。
そして、その現実を知りました。

「入居待ち」されている方がどれだけいらっしゃるか。
行政の判断によって、「優先的」に入居される方もいます。(独居老人など)

家族がそろっていて、住む家もあり、介護度の低い私達の義父が入居できる番は正直・・・・見当もつきませんでした。

グループホームは簡単にいえば【老人ホーム】です。
ただ、対象者が認知症を患っていらっしゃる方というだけのこと。
基本、終身(特別に医療機関に通うことになると退所)です。

広めの個室、スタッフの手作りによる食事、のびのびとくつろげるリビングなど・・・・。
少人数で共同生活するスペースだと考えてください。

入居者3人に対し、一人のスタッフ・・というシステムはどのグループホームさんも同じです。
1ユニットに9人の入居者、これもほぼ一緒だと思います。

施設の前に入居者募集中という旗が立っているのをよく見かけましたが・・・それは今現在、空きがあるからではなく、
順番待ちをするために、早めに申し込みを済ませてくださいねという意味だったことを知りました。

見学は合計四ヶ所行きました。
少ないほうです。
この四ヶ所、それぞれ個性があり、値段の差も少しはありました。

運が良いのか、悪いのか・・・・その中の一つのグループホームは
「新設されたばかり」で入居者の空きが複数名ありました。
若干お値段が高いということもあるのでしょう。

一晩、よく考えました。

今までのように、アテに出来ない老健からの連絡を待ちながら、ショートステイを繰り返すか、
グループホームでこれから先、憂い少なくすごすか・・・。

義父自身、あちこちの施設を転々とすることに苦痛を感じる事もあるでしょう。
しかしそれ以上に、私達があたふたと気を揉む負担が大きかったのです。

結果、次の朝には一つのグループホームの扉を叩いていました。
空きがある新設された場所です。

運よく、経営者の方もケアマネージャーさん(グループホームには必ず常駐されています)たちもいらっしゃいました。

色々お話を聞いたうえで、入所契約をすることに決定しました。

真新しいにおいのする、広々とした綺麗な施設です。
ケアマネさんは超がつくほど猫が大好きで、明るく話しやすい方でした。

即断とまではいきませんが・・かなり速いほうだと思います。
それほど、このグループホームに入所するということは困難なのです。

これもすべてタイミングですね。

今、一時的に帰宅している義父。

グループホームの方から「明日一枚 お父様の写真をください」と言われたので、今日デジカメで撮影しました。
(のちにこれを見ながらにケアマネさんが油絵を描いてくださるそうです)

義父はいつもどおり穏やかな笑顔です。

が、写真をみて・・・昔と随分 顔つきが変わったなと感じました。
やはり認知症特有の・・・目のうつろさ?のようなものが表れています。

アルツハイマーと診断されて丸4年。

もう4年?いや・・・やっと4年・・・一つの岐路に立ち、そして進む道の選択をしました。

これにより、私達夫婦の人生も多少なりとも変わっていきます。
特に主人においては・・・大きな決断をする機会にも恵まれると思います。

義父が、新しい住処に少しでも楽しさを見つけてくれると良いなと心から願います。

コメント

  1. A from 東京 より:

    お疲れ様
    私の父方の祖母も、認知症で施設に入っていたよ。
    父の兄も、父も、祖母を介護することはできなかった。
    子どものころ、年に1、2回くらいのもんだったと思うけど、大阪から三重まで車を走らせて、家族で施設に見舞いに行ったわ。
    見舞いに行っても、祖母は途中で退席したまま行方不明になったり、だんだん私たちが誰なのかもわからなくなって毎回初対面状態になったり…
    そのとき初めて、父の嗚咽する姿を見たことが、今でも忘れられないよ。
    子どものころ、あちこち鍵がかかったあの施設を、牢屋のように感じたことも思い出すけれど、大人になった今、そういう施設の重要性をすごく感じる。
    そちらのご家族にとっても大きな決断やったと思う。
    みんなが明るく前向きに生活を続けていけることが一番やもんね。
    難関やのに入れて本当に良かった。
    お義父さんも慣れて楽しく暮らせると良いね。
    ご家族みなが笑顔で過ごせる日がくるよう心から願ってるよ。

  2. tuna より:

    Unknown
    たいていみんなが通る道。即座に決断しても、じーーーっち考えてても、結局はどこかしらみんなお世話になるだから、いいとおもうよ。

    家で24時間介護するっていう人も、入所させてそのお金をだすにしても、どっちも介護してることにはなるさ。

    家で見るのも限界あるし、なんかあったらほんと大変なことになるからね。

  3. ゆうこん より:

    幸せなのかも
    いつも卯月さんのランチを見ては追いかけるようにいろいろ行ってます。勝手にお世話になっています。
    私の父はアルツハイマーではなく、単なる痴呆でした。そしてお義父さまのように大人しくはなく、お酒を飲み、くだをまき、暴れるという悪循環。
    もちろん、グループホームや老健などに入れるわけもなく、何とか知り合いの精神科病棟に入れていただきました。措置入院です。
    結果、あっという間にひどく呆け、2年半ほどの入院後に誤嚥性肺炎で亡くなりました。
    可哀想な事をしたと今でも思います。毎週末、入院している病院に家族で行きましたが、そんなの自己満足でしかないような気分でした。
    お義父さまはそれに比べたら、普通に暮らせるだけ幸せだと思います。というか、可哀想だとか思うのは私達で、本人はちっともわかっていないのです。
    病院に居るとは思っていなくて、湯治に来てるなんて言ってましたから。

  4. 市本宏一 より:

    ケアは修行?
    アリセプトは、ジェネリックが出ていて、薬価は安くあがります。BPSDといわれる介護者にとっての問題行動がある方は、環境整備、ケアの工夫以外にメマリー(樹木希林のCM)や抑肝散、精神科のお薬でコントロールがつく場合も少なくありません。また、医薬品以外では、フェルガードというサプリメントも効果的な場合があります。

  5. 卯月 より:

    Aちゃんへ
    いつもありがとう。
    正直、励みもやさしい言葉も弱っている時にもらうと
    こころが折れそうになるよね。

    でも、皆それぞれの事情を抱えて頑張っているんだなと思うし、一番辛いのは本人だろうし・・・
    私達は、幸せなんだろうな。

    私達はそのとき、そのときのベストを模索するしかないんだなと痛感しました。
    今回もその一つ。

    これから少し慌しい毎日になるけれど、頑張ります!

  6. 卯月 より:

    tunaちゃんへ
    ほんと、其の通り。

    お金で解決できる世の中に、ある意味感謝しているよ。
    心の疲労だけは、どうしようもないからね。

    しばらく新生活・・・・辛いこともあるけど頑張るよ!

  7. 卯月 より:

    ゆうこんさんへ
    それは・・・それは大変だったのですね。
    お酒で暴れるという行為は、周りの人の怒りと虚しさを助長させますし、お父様自身、やりきれないことも感じていたのでしょうね。

    精神科・・一般人にとっては出来るだけ関わりたくない診療科ですよね・・・ほんとお辛い現実だったと思います。

    私の義父は・・・4年前にお酒をやめてくれました。
    これがとてもありがたかった。
    あれだけお酒しか楽しみがないとおっしゃっていた方が
    自分で、決断しそれを実行にうつすことができるとは想像だにしておりませんでした。
    感謝の一言です。

    私も少し考え方を前向きにせねばなりませんね。
    義父の新生活のスタートはとても明るく素敵なものだと思いましたし・・これからもそうであってほしいと願います。

  8. 卯月 より:

    市本宏一さんへ
    アリセプトのジェネリックをこの間知ったばかりです。
    いろんなお薬がありますが、まだ精神科のお薬に頼る必要がないようなので助かっています。
    ご助言、ありがとうございます。

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